メインコンテンツに移動

エアドライヤの原理と種類

エアドライヤとは

エアドライヤは、空気圧縮機の吐出空気ラインに設置され、 結露を抑え、出来るだけドレンを発生させない空気の状態にするのがドライヤの役割です。 空気圧縮機は、空気中に含まれる、水蒸気も同時に圧縮することになり、ドレンが発生し、発生したドレンが配管の錆の原因になったり等、悪さをします。 ハイテク分野など品質の良いモノづくりを行う場合は、圧縮空気の要求品質も高くする必要があり、現在は、業種問わず、エアドライヤの装着率は、約80%とほとんどのユーザーがエアドライヤを必要としています。
ドライヤの種類には、冷凍式ドライヤ、吸着式ドライヤ、中空糸膜(メンブレン)式ドライヤなどがございます。

冷凍式ドライヤ

除湿方式

冷凍式ドライヤは、圧縮空気を低温の冷媒ガスにより強制的に冷却して圧縮空気中の水分を凝縮させ排出する方式です。

構造については、こちら

冷媒の種類

フロン冷媒の規制により5.5kW以下の空気圧縮機に搭載される冷凍式ドライヤではHFC冷媒R134aが一般的に使用されています。また、7.5kW以上では、HFC冷媒407cが主流です。上記クラスでは、まだ、HCFC冷媒R22も使用されておりますが2004年より冷媒R22は、生産制限が始まり、2020年に全廃となりました。

フロン排出抑制法については、こちら

冷凍式ドライヤの選定

冷凍式ドライヤの基本的な選定は、要求露点の高低の、冷凍式ドライヤへ流入する空気量、また流入する圧縮空気の圧力、熱交換器内通過速度などによって冷凍式ドライヤのサイズ選定します。

露点

圧力下で、30℃大気温度、流入圧縮空気温度45℃の標準条件時、圧力下露点範囲は3~10℃のものがあります。露点温度は、10℃となるよう選定するのが一般的です。極小形の空気圧縮機では、15℃を圧力下露点とする場合もあります。
圧縮空気をブローして使用する際に水分がぎょうしゅくしてはならないわけで、精密機器製作、高精度機械加工など、空調の聞いた工場・事業所内で設定温度は年間を通じて一定であるため、例えば23℃の空調設定であれば、東南アジア(外気温度は41~42℃に十分到達する)や夏季など外気温度が上昇する環境であっても年間を通して最も厳しい使用条件、環境条件で圧力下露店は23℃を下回っておく必要があり、現実的にはこの条件をクリアしておけば、トラブルが少なくなります。

吸着式ドライヤ

吸着ドライヤには、非加熱再生式(ヒートレス)ドライヤと加熱再生式ドライヤがあり、加熱再生式は排熱ドライヤとヒータ加熱再生ドライヤがあります。

  1. 非加熱再生式

    吸着剤で圧縮空気中の水分を吸着して乾燥した圧縮空気を送出する吸着筒と、得られた乾燥空気の一部を水分を吸着した吸着剤に流し、乾燥させて吸着剤を再生させ、水分を含んだ再生用空気を大気にパージする再生筒の2筒から構成されます。一定時間ごとに吸着筒と再生筒を切り替えてドライヤ機能を果たす方式です。0.69MPaの使用圧力で再生空気の消費量は15~20%と多く、エネルギー効率的には悪いため、大空気量の乾燥処理には向かない。また要求する圧力下露店が低いほど必要な再生消費空気量は増大します。圧力下露点は-20~-70℃となります。

  2. 加熱再生式

    ①ヒーター加熱再生式吸着ドライヤ

    ブロアなどで大気から吸引した空気を電気ヒータや蒸気ヒータで高温にし再生吸着筒へ流入させ、吸着剤に含まれる水分を除去して大気へページする方式です。圧力下露点は-20~-70℃程度となります。吸着材を再生させるのに圧縮エアーを使用しないため、圧縮空気の空気量を非加熱式のものに比べ落とすことなく乾燥エアーを供給することができます。

    ②その他加熱式ドライヤについて

    その他の加熱式ドライヤについては、コンプレッサの排熱を利用して吸着剤を再生させる排熱ドライヤがございます。
    コンプレッサの従来の2筒切替式のものや回転ドラム式などの種類があり、回転ドラム式については、120~400kWの大形のスクリュータイプに使用されます。
    圧力下露点は、+10~25℃程度となります

中空糸膜ドライヤ

別名メンブレンドライヤとも呼ばれています。高分子でできた水蒸気のみ通りやすく、空気分子は通りにくい分離膜を利用する方式です。分離能力は膜間の水蒸気分圧差と分離膜面積、分離された水分を運び去り大気へパージする乾燥空気量に比例します。比較的少ない流量のタイプに向いていて、アネスト岩田の機種でいうと、0.75kWの一部の機種に搭載されています。簡単に設置できるため、クリーンルーム内などに設置して局部的に露点を下げて圧縮空気を利用したいときにも利用されます。構造面から外中タイプの2種がある。圧力下露点は、+10~-25℃程度となります。

関連ページ

冷凍式ドライヤ製品ページ

RDGシリーズ

フロンについて(種類・充填量・消費電力)

フロンの充填量が知りたい方はコチラ

冷凍式ドライヤの構造

冷凍式ドライヤの構造について詳しく知りたい方はコチラ

【参考文献】

松隈正樹.空気圧縮機.財団法人省エネルギーセンター.2005年