コンプレッサの電気料金について
コンプレッサの電気料金について、計算方法を解説します。
負荷率を考慮することで、最も省エネで最適な出力や圧縮方式・制御方式のコンプレッサを選定できるようになります。
例題①
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コンプレッサにかかる年間の電気料金の求め方
- 使用する空気量:300L/min
- 圧縮機種類:給油式レシプロコンプレッサ
- 稼働時間、日数:1日10時間、月間20日(年間240日)稼働
- 電気料金の単価:kWhあたり25円 ※ただし、詳細はご利用の電気業者にお問合せください
【条件】
計算
- 1年間の電気料金は以下の式で計算します。
時間あたりの電力量料金(1)×1日の稼働時間×月の稼働日数×機械負荷率(2) - まずは(1)時間当たりの電力量料金を計算します。
1時間あたりの電力量料金 … モータ出力÷モータ効率×電気料金
例)3.7kWモータでの比較
IE1モータの効率レベル=85%
IE3モータの効率レベル=89.5%
IE1モータの電気料金 : 3.7kW÷85.0%×25円 ≒ 109円/時間
IE3モータの電気料金 : 3.7kW÷89.5%×25円 ≒ 104円/時間
モータこの効率レベルは電動機の銘版に記載の情報を元にインターネット上のカタログなどで調べることができます。 - 1年間の電気料金は以下の式で計算できます。
1時間当たりの電力料金×1日稼動時間×月の稼働日×12ヶ月×機械負荷率(2) - 続いて、コンプレッサの負荷率を計算します。
IE1モータとIE3モータで吐出し空気量に差はないものとします。
吐出し空気量は、3.7kWの給油式レシプロコンプレッサCLP37CF-8.5=375L/minです。 - 年間の電気料金はそれぞれ以下の通りです。
IE1 : 109円×10時間×240日×72.3%=188,802円+基本料金
IE3 : 104円×10時間×240日×72.3%=179,309円+基本料金
年間での差額は 9,493円、10年間での差額の総額は 94,930円 になります。
結論
機械の性能は向上しており、数年のうちにモータ効率は大きく改善されています。モータ効率の良いコンプレッサに買い替えることで省エネすることが可能です。
古いコンプレッサを長く使い続けるよりも、新しく買い替えた方が省コストになる場合があります。
イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも考慮してコンプレッサを検討しましょう。
さて、上記は同じ種類のコンプレッサで比較しましたが、電気料金比較で多いのは圧縮方式やモータ出力の違うコンプレッサで比較する場合です。
例題②
- 小形のスクリューコンプレッサとレシプロコンプレッサの、それぞれの電気料金の比較
- 使用する空気量:300L/min
- 圧縮機種類:
給油式スクリューコンプレッサ 吐出し空気量:440L/min
給油式レシプロコンプレッサ 吐出し空気量:415L/min
いずれもIE3モータ搭載機 - 稼働時間、日数:1日10時間、月間20日(年間240日)稼働
- 電気料金の単価:kWhあたり25円 ※ただし、詳細はご利用の電気業者にお問合せください
【条件】
計算
- 上記の例題①の通り、年間の電気料金を計算します。
レシプロコンプレッサの場合=198,436円
1時間当たりの電気料金:3.7kW÷89.5%×25円 ≒ 104円/時間
負荷率:300L/min÷415L/min=72.3%
104円×10時間×240日×72.3%=179,309円+基本料金 - スクリューコンプレッサの場合
1時間当たりの電気料金:3.7kW÷89.5%×25円 ≒ 104円/時間
負荷率:300L/min÷440L/min=68.2%
定速で稼働するスクリューコンプレッサの場合、圧縮していない時でもモータを止めずに吸い込む空気の量を減らしたり、モータを空回しさせたり、インバータ機ではモータの回転数を減らして吐出し空気量を制御する方式が採用されており、コンプレッサが停止することはありません。
上のグラフから、スクリューコンプレッサの負荷率が70%の時の消費動力率は約90%です。
そのため、計算式は以下のようになります。
1時間当たりの電力料金(1)×1日稼動時間×月の稼働日×12ヶ月×消費動力率
104円×10時間×240日×90%=224,640円+基本料金
結論
スクリューコンプレッサは負荷率が高い状態で連続運転すると、最も効率が良くなる機械です。逆に負荷率の低い時もモータは停止しないので、電気料金が割高になりやすい傾向があります。これはインバータ制御機でも同じです。
つまりモータ出力が同じでも発停式のコンプレッサと比較すると、電気料金に大きな差が出ることがあります。また、使用条件によってはモータ出力の大きい発停式のコンプレッサの方が、電力料金が安くなる場合もあります。
コンプレッサを選定する際は既存機と同じ出力の機械を選ぶのではなく、必要な空気量と制御方式から最適な機械を選定することが重要です。